元銀行員のソーシャルレンディング投資実践録

元銀行員の立場からソーシャルレンディング投資を主力として投資信託、仮想通貨を含めたポートフォリオ構築を目指します。


賃貸アパートやシェアハウスへの融資が注目されています。

そしてこれらの不動産への「銀行」の融資姿勢にも厳しい目が向けられています。

ソーシャルレンディングへの影響はいかほどのものとなるのでしょうか。

本日は、銀行の賃貸アパートへの融資姿勢についての雑感です。

お話できる部分は限られてしまうので、ご参考になるかわかりませんが一般的なところをお話します。

「銀行の」と記載しましたが「銀行担当者にとっての」と読み替えて頂いた方がいいかもしれません。



なぜ銀行にとって賃貸アパートへの融資が重要であり、なぜ基本的には積極的な融資の姿勢なのか。


それは

(1)賃貸アパートへの融資は、資金ボリュームが大きい
 銀行担当者からみれば、金額ベースの融資目標の達成は、最も重要な評価指標の一つです。賃貸アパートへの融資が成功すれば、大きな金額を融資することができます。特に新築であれば、融資金額のボリュームも大きいことでしょう。
 年に複数件のアパート融資を手掛けることができたなら、それは銀行担当者にとって、融資目標の達成に大幅に近づいたことを意味します。


(2)賃貸アパートへの融資は、担保保全がきいている
 賃貸アパートへの融資に対して、その殆どの場合は抵当権又は根抵当権による保全を図ります。新築物件であれば、高い評価をみれますので、いざという時に、担保物件売却により回収を図ることができるのです。
 そして、ここでも重要となるのが、「自己資金」というキーワードなのですが、アパート新築にあたり、借手が「自己資金」を多く出してくれれば、銀行は少ない融資金額で、新築物件丸ごとを担保にとることができるのです。そうであれば、いざという時の保全はより万全です。


(3)賃貸アパートへの融資は、スキームが構築されている
 銀行担当者にとって、新しい会社の新しい事業モデルを評価するよりも、慣れ親しんだ賃貸アパートの事業モデルを評価する方が審査が簡単です。賃貸アパートの事業モデルの評価は完全に体系化されているということです。
 端的に言ってしまえば、賃貸アパートの事業モデルの「ひな型」的なものを使い、物件にあわせて数値のみ入れ替えれば、あら簡単、審査資料の作成完了です(もちろん、それなりの手間はかかります)。


以上の通り、銀行にとって、賃貸アパートの建築資金の融資は、メリットが多いのです。

もちろん、運転資金と違って再利用に繋がりにくいですし、一期一会のお取引かもしれません。

でも、担当者にとっては融資実績を伸ばす大きなチャンスになるのです。



それでは「賃貸アパートの審査は緩いのか」というとそうではありません。

スキームが構築されている分、融通は利きにくいです。

担保があるからといって何でも融資をしていたら、もしかしたら貸倒れのあめあられです。

銀行にとっても担保処分は相当の手間なのです。



審査において、周辺状況、法律的な関係、土地の相場とのかい離、建築単価は高すぎないか、借主の資産状況、、、等々 あらゆる観点から検討します。

程度問題ではありますが、当然に相場とのかい離が大きければ融資はできません。

当たり前のことなのです。いくら融資金額が伸ばせるからといって、各銀行毎に堅牢な「審査基準」が存在し、そこから大きくかい離する場合は、それなりの理由の説明が求められます。

適正な理由であっても、許容できる範囲でのかい離でなければ、融資はできません。

これが、スタンダードです。



銀行はよく「おカタイ」と言われますが、それを褒め言葉ととらえられる人でなければ、特に審査は務まりません。

ですが、最近はどうでしょう。

通常の事業者への融資が伸び悩む中で、ボリュームが稼ぎやすいアパートローンの融資を積極化するのは自然なことです。

その中でも「土地の取得価格が相場より極端に高い」又は、「建築単価が極端に高い」物件に融資するのは自然なことでしょうか。



元銀行員としては、ここに違和感を感じます。

「なんでそんな融資が通るんだ?」と。

なんで通るかはなんとなくわかりますけれど。



建築業者が見積書を高く仕上げてくるのは仕方のないことです。

建築業者も収益を獲得することが仕事ですから。

極端に高いものや悪意が感じられるを除いては、仕方のないことなのです。



そこを適正価格におさめるのは、第一に「借手」、第二に「銀行」の仕事ではないか?

だからこそ借手には厳しいことも言います。

「ちょっと計画が甘いんじゃないですか?」

借手のためなのです。

後になって「評価額の3倍で買わされた。不安で夜も寝れない。」

こう言って欲しくないのです。


でも、借手にこう言うからには、銀行自らも、

「この見積書は高すぎますよ」

こうやって、借手に教えてあげるのはアリではないでしょうか。

私たちは運命共同体です。計画は実現してこそ価値があります。

計画が甘く、借手の資金がまわらなくなった場合に、最終的に引き受けるのは銀行なのです。



こう思うのです。

需要が旺盛であった時代はよかったかもしれません。

それはちょっと高すぎるんじゃないかとストップをかけられたのかもしれません。

でも、今は金余りの時代です。

建築単価が高ければ、その分融資金額を伸ばせます。

仲の良い業者とタッグを組めば、おいしい融資案件が舞い込んできます。

銀行担当者として融資を伸ばさなければいけませんので、当然に融資を進めようとします。

過剰融資を抑制し適切なバランスに保つのが、堅牢な「審査基準」の存在ではないのでしょうか。



ですから、昨今の問題がおこるというのは、私slbkには俄かには信じ難いことです。

こういう事象がおこっているからには、「審査基準」が緩くなったのか、「審査基準」に対抗する相当の理由づけがなされているのか、そもそも「審査力」が弱まったのか、「営業成績」>>>「審査基準」になっているのか。

真相はわかりかねますが、金余りの時代の弊害をここに感じるわけです。


さて、最初に「雑感です」と記載しましたが、文字通り、取り留めのない内容になってしまいました。



無理矢理にでもソーシャルレンディングに繋げるとすれば、
想像ですが、

金融庁からアパートローンの厳格化のお達しが出て、アパート融資への審査が厳格化し、市場がシュリンクすることで、銀行借換というソーシャルレンディングのエグジット策が使いづらくなる

という可能性はゼロではないかもしれません。


特に、こういう問題が起こっているときに一番注意しなければいけないのは、規制の改正です。

金融業全般は規制業種ですから、どのような変化が起こるのかいち早く気づき、時流の変化にあわせていかなければなりません。

変化なければそれで良し、変化あればいつでも動けるように準備しておくと良いかもしれません。

私slbkは、今のところ投資スタンスは変えていませんよ。

それでは。



↓気に入った記事があればクリックお願いします

にほんブログ村 株ブログ ソーシャルレンディングへ

いつも記事を興味深く拝読させていただいております。
TATERU Funding と西京銀行の業務提携https://www.saikyobank.co.jp/personal/information/docs/0329.pdf
なのですが、どういう意味?があるのでしょうか?
ご意見をお聞かせいただけると大変の有り難いです。
宜しくお願い致します。

2018.09.03 09:19 URL | kita #- [ 編集 ]

kita様

コメントありがとうございます。

TATERU Fundingと西京銀行の業務提携にどういう意味があるかということですね。

私の意見を申し上げますと、

まず前提として、法律上「業務提携契約」として形式的に定められているものは存在しないということです。よって、業務提携の内容は当事者同士で決めることができます。

そして内容として、業務提携を結んだ双方で「必要な情報を提供し合う」旨の規定が設けられることが多いです。

顧客の同意が必要ですが、業務提携により、相互に情報提供をしあえる関係となるのです。

私は、これが業務提携を行う意味であり、一番のメリットだと考えています。

そして銀行と不動産業者との業務提携はごく一般的に行われています。

中には複数の不動産業者と業務提携を結んでいるところもあるかもしれません。

業務提携していれば、顧客へ相互の商品を紹介しやすいのです。

不動産業者にとっては、新築にあたり「業務提携先のX銀行を紹介しますよ」とか。

銀行にとっては、「事業拡大にあたっては、業務提携先のX不動産が良い物件を持っていますよ」とか。

そして不動産業者にとっては業務提携先ということで、顧客と銀行の間にあってスケジュールをコントロールできます。

銀行にとっても不動産業者から審査書類を、場合によっては銀行の審査しやすい形式でもらうことができます。

顧客に銀行の拘りがないのなら、基本的には業務提携先の銀行から調達することになります。

身内とまではいきませんが、銀行と不動産業者は、利益共同体の側面をもつのです。

ですから顧客としては、「割高な物件なのに、銀行の審査が通ってしまったのがいけないのだ」

という言い分があったとしても、銀行としては、
(業務提携先の業者だし、割高なのはやむを得ないなぁ・・・) 「物件取得の判断をしたのはお客様ですよ」
という風になるのです。

つまり、、業務提携により銀行審査がスムーズにすすむというメリットを享受できる反面、物件が割高でないか、顧客自身で調べたほうが良いということです。

お答えになっているかわかりませんが、よろしくお願いいたします。

2018.09.03 13:02 URL | slbk #- [ 編集 ]

大変に分かりやすいご回答で本当に有難うございます。

金融機関と不動産会社の業務提携には色々と相互メリットがあるのが
分かりました。
不動産購入者にとっても融資を受けやすくなる可能性があるという
メリットがある反面それが業者の金額設定が割高になってしまう
傾向へつながってしまう恐れもありそうですね。

業務提携してから半年足らずでこれだと両社ともに困っていることでしょう。
私は8月に初めてTATERUに出資したのですが、
狼狽してすぐにクーリングオフや解約するのでなく、
今週末まで様子見してから解約するか継続するかを判断したいと思います。

今回のことを機に顧客利益の優先順位を上げてTATERU・西京銀行は出直してもらいたいです。

有難うございました。

2018.09.03 13:16 URL | kita #- [ 編集 ]













管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://slbk.info/tb.php/36-9abab64f